「我々が若いころはもっと残業は大変だった」は通じません

 「比嘉さん(仮名)は、企業の総務で入社3年目。あるプロジェクトのリーダーを初めて任され、日々業務に打ち込んでいました。4月~6月の残業時間はかなり多いようでしたが、上司は一生懸命頑張っているからと特に気にしませんでした。

 プロジェクトが佳境に入った7月、比嘉さんは体調不良のため病院を受診すると、うつ病との診断が下り休職に入りました。
 ちょうど比嘉さんは7月に夫婦喧嘩をしていたようで、不和だったようです。後で確認してみるとAさんの4月~6月の残業時間は毎月100時間でした。
 このような場合労災と認定されるでしょうか?」答えは、100%労災と認められます。基準では、月80時間以上の残業が続くと、健康障害が生じるとされています。多くの管理職は、きちんと最近の法改正の動向をつかんで、正しく回答していただけるのですが、労災にならないとお答えになる方にある共通点があります。

 それは、年配の管理職の方です。よくよくお話を聞いてみると、皆さん仰るのが「われわれの時代は残業なんて当たり前で、100時間ぐらいじゃ労災にならない」というものです。昔の基準ですと、100時間の残業は当たり前という感覚があるのかもしれません。しかしながら、精神障害の認定基準が平成23年12月から新しくなったため、いままで当たり前だったことが通用しなくなってきています。経営者・管理職の方は、そのことを認識いただき正しい労務管理をしていただければと存じます。