65歳以上も雇用保険は適用される?
65歳以上の従業員も雇用保険の適用対象となったことや、複数の事業所に勤務することで要件を満たすと雇用保険適用が可能に…
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事業を始めると、従業員を雇用して事業拡大を図ることが多くあります。人を雇うには法律を押さえておく必要があります。
毎年ように法律改正があると、正しく把握するのは難しいものです。
そういった場合には、社労士に相談してはいかがでしょうか。
本記事では、社労士と契約を結ぶメリットや依頼できる業務例、依頼した場合の費用相場などを紹介します。ぜひ、社労士への委託を検討する際の参考にしてください。
長嶺 将彦
社会保険労務士・AFP(日本FP協会認定)
労働保険・社会保険手続き、就業規則作成など社会保険労務士の業務を長年にわたって対応し、その経験から、顧客に寄り添った丁寧なご案内が好評です。特に助成金申請業務を得意としています。
社労士の業務には1号業務、2号業務という、社労士にしか許可されていない独占業務があります。
1号業務とは、労働者を雇用した際に行う労働保険・社会保険関係の手続きです。2号業務とは、就業規則や労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、労使協定など、法令に基づいた帳簿作成業務を指します。
社労士には、これらの業務を相談することが可能です。それぞれ、以下で詳しく解説します。
社労士には、労働保険や社会保険事務手続きの代行を相談することが可能です。
日本では法律上、労働者を1人でも雇うと労働保険の設置義務が生じます。
一方、社会保険については法人と個人で加入要件が異なるため、専門知識が必要です。法人では、事業主や役員に報酬が発生したり、フルタイムの労働者を1人でも雇用した場合、個人事業では、常に5人以上の労働者を雇用する場合には社会保険の設置義務が生じます。
労働保険の設置や社会保険の適用手続きにはそれぞれ所定の書式があり、記載事項の誤りがあれば、受理されず再提出が求められることになりかねません。
また、要件を満たしていたにも関わらず、手続きを怠っていたためにさかのぼって手続きしなげればならない場合もあります。それにより、事務手続きに手間がかかるだけでなく、労働者が不利益を被ることもあるでしょう。
社労士に依頼すれば、このような各種保険に関する手続きを迅速かつ的確に行ってくれるため、手続きの漏れ・遅延などのトラブルを回避できます。
労働保険・社会保険に関する主な手続きの例は以下の通りです。
常に10人以上の労働者を雇用する場合には、就業規則の作成および届け出が義務付けられています。この2号業務は1号業務以上に専門知識が必要になるでしょう。
社労士には就業規則に付随して、以下の規定などの作成代理を依頼できます。
手続き可能な労使協定や作成台帳の例です。
人事・労務に関するコンサルティングについて紹介します。
会社を起業したり、業務を拡大したりして労働者を雇用する予定があると、国や地方公共団体から労働者の雇用を促進している企業として、助成金を受けられることがあります。また、労務に関する業務を改善する企業も、それに関する助成金を受給できる場合があるでしょう。
しかし、事前に情報を入手しておかないと計画書が必要だったり、就業規則の見直しなどが必要だったりと、簡単には受給できないケースが少なくはありません。そういった事態を避けたい場合には、社労士に助成金の申請代行を依頼するとよいでしょう。
助成金を申請するにあたり、労働者の賃金台帳を提出するケースがある場合、賃金台帳の作成も社労士に委託できる業務の一つです。例えば、適正に残業代の支払いを行われているかをチェックしてもらえます。
従業員の募集から採用、保険手続きなどを法律に沿って行うには常日頃から法律を理解して運用する必要があり、本業を主とする事業主様は労力がかかります。
その際に顧問社労士がいれば、法律を遵守しつつ、相場を勘案した募集や採用に関する相談が可能です。職種によっては、育成などのバックアップも受けられます。
社会保険 (特に年金制度) などの制度を理解していないと、想定以上に保険料が発生したり、報酬を高くしたために年金受給額が減額されてしまったりすることになりかねません。
しかし、事前に顧問社労士に相談していれば、社会保険料負担額の軽減や年金減額を避けられるでしょう。
就業規則の整備面では、法律改正に伴う規則の改定や新たな規則の追加、社内事情に応じた規則の改定など、顧問社労士に相談できることは多々あります。
会社と従業員との間で解雇や雇い止め、労働条件引き下げなどに関するトラブルが発生した際の紛争解決方法として、裁判外紛争解決手続があります。
裁判外紛争解決手続とは、裁判をせずに中立的な第三者が当事者間に入って双方からの話を聞き、仲裁や調停、あっせんなどの手続きを行って、法的トラブルを解決する制度です。
裁判外紛争解決手続の特徴には、一般的な裁判より費用が安いこと、解決までの時間が短いことが挙げられます。また、争う内容について公開されません。
紛争解決手続代理業務試験に合格した特定社労士 (特定社会保険労務士) であれば、裁判外紛争解決手続について当事者の代理業務を行えます。
社労士に相談するメリットとして、次の7つを紹介します。
従業員を1人でも雇用する会社には、労働保険の加入が義務付けられます。さらに、法人であれば社会保険への加入も必要です。
従業員の採用や退職時には、労働保険や社会保険の加入および喪失の申請手続き、労働保険の年度更新手続きなど、さまざまな手続き業務が発生します。これらの手続き通常、事業主や労務管理担当者が行わなければなりません。
社内で労務管理をすべて行うとなると、必要な知識の習得や申請書類作成に時間を取られ、会社本来の本業がおろそかになるおそれがあるでしょう。しかし、このような労働保険・社会保険に関する諸手続きを社労士へ委託すれば事業主や労務管理担当者の負担を減らし、会社の本業に専念できます。
労働保険・社会保険に関する諸手続きは、迅速かつ正確に行う必要があります。
従業員数が少ないうちは、事業主や労務管理担当者だけでも対応可能かもしれませんが、しかし、事業の拡大によって従業員が増えて手続き業務が増加したり、労務管理担当者の急な退職・休業が発生したりすると、手続きに遅れが生じることが考えられます。
申請手続きの遅れや申請内容の誤りによって従業員に不利益が発生すると労使間のトラブルに発展することもあり得るでしょう。
社労士は労務管理に関する唯一の国家資格者で、労働保険・社会保険の諸手続きに精通しています。社労士に委託すれば、手続き業務に関するトラブルを未然に防ぐことが可能です。
労務管理に関する諸手続きは多岐にわたるため、労務管理担当者を設けている会社が多い多いでしょう。高度な知識を持つ人を採用すると人件費が高くなり、知識の浅い人を採用すると書類作成に手間取って残業時間 (残業手当)が増加することが考えられます。
また、人件費以外にもパソコンや専用ソフトの導入費用といったコストがかかりますが、社労士に業務委託を行えば、人件費や設備費用の削減が可能です。
従業員は、会社のさまざまな業務を通して日々成長し、社内研修などを受けてさらに個々の能力向上や知識の習得を行っています。
そして、会社は成長を期待できる人材を経営資源として考え、人材を有効活用するための仕組みを体系的に構築・運用することに努めています。
社労士に相談すれば、人材開発や組織作りに向けて会社のニーズに応じたアドバイスを行ってくれるため、人材を適切に管理できるようになるでしょう。
労務管理に関係する法律は多々あります。例えば、従業員の労働条件に関して定める労働基準法、育児休業や介護休業の取得などを定める育児介護休業法です。長時間労働の是正や、仕事と家庭の両立を図ることを目的とした法改正が行われています。
社労士と業務委託契約を結ぶことにより、最新の法改正の内容やその対応、法改正に沿った就業規則の整備についてアドバイスを受けることが可能です。
また、助成金活用を検討している場合は、特に最新の法改正への対応を意識しなければなりません。なぜならば、助成金申請の際に法律に反していると、受給ができなくなるためです。
助成金の受給要件も毎年、変更されることが多いので、都度確認が必要でしょう。
社労士へ業務委託を行えば、法改正や助成金に関する最新情報を受けることができます。
会社が持続的に成長するためには従業員の力が必要になり、その力を十分に発揮するためには、従業員が会社への高い貢献意識を持たなければなりません。
貢献意識向上を目指すには、従業員から信頼される会社になる必要があります。そこで重要になるのは、安心して働けるような労働環境の整備です。例えば長時間労働の是正といった労働条件の改善、仕事と育児・介護の両立に向けた支援などが挙げられるでしょう。
社労士と委託契約して、従業員が心身ともに健康的に働ける職場環境の整備に向けたアドバイスを受けられれば、労働環境の改善により会社への信頼が高まることが期待できます。
会社と従業員との認識の違い、誤解や知識不足などにより、未払い残業手当請求や職場内のハラスメントなどのトラブルに発展することがあります。
また、業務中に従業員が負傷する事故が発生した場合には、労災保険への適切な申請が必要です。社労士との業務委託を結べば、正しい法律の知識や適切な労働条件の設定、ハラスメント防止の対策、労災事故発生時の迅速な対応が可能となり、トラブルを未然に防げます。
トラブルが発生したとしても、特定社労士であれば裁判外紛争解決手続の代理業務が可能です。
社労士と顧問契約した場合の費用相場を見ていきましょう。一般的には、従業員数に応じた月額料金であることが多くなっています。
なかには、顧客の要望に応じて、年間の顧問料を算出して12回に分けてたり、3ヶ月に1回まとめて支払う形にしたり、柔軟に対応してくれる社労士もいます。
顧問契約の月額料金の相場は以下のように、従業員数に応じて変動する傾向にあります。
なお、従業員数49までの相場を紹介していますが、従業員数50人以上となると、「要相談」としいる事務所が少なくありません。
4人以下 | 2万円 |
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5人~9人 | 3万円 |
10人~19人 | 4万円 |
20人~29人 | 5万円 |
30人~49人 | 6万円 |
上表は、従業員の入退社にかかる基本的な手続きに、相談業務を含んだ場合の報酬です。人事労務に関する相談やアドバイス、細かな指導や情報提供などが主な業務といえます。
従業員数は増減するものですが、増減のたびに顧問料を変更するかどうかは社労士によって異なります。人数増減の際に都度見直しをしたり、契約更新の従業員数で再設定したりとさまざまです。
社労士に長期委託する可能性がある場合には、人数増減時の報酬の見直しもどのようにするのか、確認しておきましょう。
社労士とスポット契約を結ぶには、業務内容よって料金が異なります。助成金申請代行と給与計算の相場は下記の通りです。
助成金申請代行の費用相場
着手金 | 2万円~5万円 |
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成功報酬 | 受給額の15%~20% |
給与計算
4人以下 | 1万円~ |
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10人まで | 1万5,000円~ |
20人まで | 2万円~ |
30人まで | 2万5,000円~ |
40人まで | 3万円~ |
社会保険や社内規則の整備・見直しに関する料金の相場は、以下の通りです。
就業規則の作成 | 15万円~20万円 |
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就業規則の変更 | 3万円~5万円 |
賃金・退職金などの各種規程の作成 | 5万円~8万円 |
賃金・退職金などの各種規程の修正 | 3万円~5万円 |
依頼をする社労士を探すときのポイントを3つ紹介します。
社労士事務所に依頼できる業務は、1号業務と呼ばれる労働保険・社会保険の手続き代行、2号業務と呼ばれる法定帳簿作成、3号業務と呼ばれる労務コンサルティングと多岐にわたります。
依頼する業務が多くなれば、当然その分金額も高くなります。自社で行える業務と社労士に依頼する業務を明確にしておけば、余計な費用をかけずに済むでしょう。
依頼内容が決まったら、複数の社労士事務所に相談して見積もりを出してもらいましょう。
社労士の業務は多岐にわたるため、ホームページ上に掲載されているのは、目安の金額です。依頼する業務内容と自社の従業員数、社労士・社労士事務所によって金額が変わります。
月額の範囲内で行える業務以外に、スポット料金が発生する業務があるなど、料金体系はさまざまです。
大まかな相場を把握するためにも、複数の社労士・社労士事務所に依頼をしましょう。
社労士業務は幅広く、社労士や社労士事務所によって得手・不得手があります。自社の依頼したい業務・ニーズに合致し、十分なサービスを受けられるかどうかを見極めることが重要になるでしょう。
説明の分かりやすさやスピード感があるかなどの相性を確認するためにも、無料面談を活用し具体的なサービス内容などを確認することが大切です。
社労士というと、労働保険・社会保険の事務手続き代行や、雇用調整助成金の作成代行で、雇用に関する助成金の専門家として知られつつあります。
また近年では働き方の影響を受け、労務コンサルタントとしてのニーズも高まっています。
社労士によって得意分野は異なるものです。社労士に業務の相談を行う場合は、インターネット、口コミ、紹介などさまざまな方法を用いて、自社のニーズに最も合う社労士を見つけましょう。