中国ロケで泥酔し死亡、飲酒は業務として労災認定

 番組制作のためのロケで中国広東省に滞在中だった男性スタッフが2009年4月、飲酒後に死亡し、両親が国に労災認定を求めた訴訟で、東京地裁は3月19日、請求を認める判決を言い渡しました。裁判長は「中国人参加者の気分を害さぬため、大量の飲酒を断れなかった」として、労災にあたると判断しました。

 判決によると、映像制作会社に所属していた男性は、中国であったドキュメンタリー番組のロケに照明・音声担当として参加していました。その際に取材班と地元当局の幹部らが開いた宴会に参加し、アルコール度数が高い酒をコップで一気に飲み干す中国流の乾杯を繰り返し、泥酔した。滞在先のホテルの自室で吐いた物をのどに詰まらせて死亡したといいます。

 判決は、男性が宴会に出たのは、旧日本軍が建設した飛行場の撮影許可を得ることや、取材を円滑に進めるのが目的とした宴会であった指摘し、業務と死亡との間に因果関係があるとしました。遺族補償一時金などを支給しないと決めた渋谷労働基準監督署の処分を取り消しました。