派遣社員の解雇は無効として未払い賃金の支払い命令 資生堂解雇訴訟

 資生堂鎌倉工場(鎌倉市)で非正規社員として勤務し、解雇された女性7人が、同社と請負元である茨城県の人材派遣会社を相手取り、雇用継続などを求めた訴訟の判決で、横浜地裁は10日、派遣会社の解雇を不当として、現在までの7人の未払い賃金を支払うよう同社に命じました。

 原告は、人材派遣会社の元従業員の女性7人で、2001年以降、派遣や請負契約を結んで鎌倉工場で働いていましたが、2009年5月に、解雇や雇止めとなりました。横浜地裁の阿部裁判長は、契約期間の満了前だった5人の解雇について、「人員削減の必要性があったとは言えない」と認定し、雇止めを受けた2人についても、「雇用が継続される期待があった」として、それぞれ解雇と雇止めは無効とし、現在までの7人の未払い賃金を支払うよう人材派遣会社に命じました。支払いを命じた未払い賃金については、資生堂からの受注量が減ったことから、解雇前の5割の額としました。

 原告側は「解雇は資生堂が主導した」として、労働内容が正社員と同様だったとして資生堂との間に直接の労働契約が存在するとも訴えていたが、阿部裁判長は「資生堂は原告の採用や指揮命令、賃金決定などにかかわったといえない」として、人材派遣会社との実体を伴った労働契約を認め、資生堂への請求は退けました。