長時間労働対策で議論、労働時間上限をめぐり労使対立

 政府が創設を目指す新たな労働時間制度を検討する厚生労働省の労働政策審議会の分科会で、5日、長時間労働への対策について議論が交わされ、労働側が「法律で規制すべき」と主張したのに対し、経営側は「労使の話し合いに委ねるべき」として規制に反対し、労働時間に上限を設けるかどうかをめぐり労使委員の意見が対立しました。労働者側は残業を年間750時間までとする上限規制の導入を提案しましたが、使用者側は上限設定そのものに慎重姿勢を表明しました。

 政府が創設を目指す新たな労働時間制度では、成果で報酬が決まり残業代が支払われなくなるため、労働組合などから長時間労働を助長すると懸念する声が上がっています。労働組合の委員は「過労死で亡くなる人が毎年200人近くに上るなか、長時間労働を防ぐためには法律の規制が必要だ」と主張しました。そして、残業時間を年間で最大750時間までとする案や、一日の仕事を終えたあと翌日の仕事を始めるまでに一定の休息時間を設ける案を示しました。一方、経済団体の委員は「運送業や建設業などで繁忙期には対応できない企業もあり、一律に規制をかけても問題の解決にはつながらない」などとして、労使の話し合いによって長時間労働を抑制していくべきだという考えを示しました。審議会では今回の議論を踏まえ、年内にも関連する法律の改正に向けた報告書を取りまとめることにしています。