違法残業の報道は絶えず 時間外労働の上限規制の合意内容を再確認

 大手家電メーカーが、工場に勤務する社員に労使協定の上限を超える違法な時間外労働(残業)をさせたとして、今月15日、管轄の労働基準監督署・労働局が、労働基準法違反容疑で、法人としての同社と上司2人を書類送検したとの報道がありました。

 送検容疑は、労使協定の上限を超える違法な残業。同社工場では、40代の男性社員が昨年6月に亡くなり、今年2月に長時間労働による過労が原因だとして労災認定がされていました。これと並行し、労働基準監督署が同工場を調べていたところ、死亡した男性を含め複数の社員に対し、労使協定の上限を超える違法な残業をさせていたことが確認されたそうです。時間外労働の時間数は、最大で月130時間を超える時間だったということです。
 例のごとく、労災認定と月100時間近くの残業が重なると、書類送検という流れになりますね。この件は、過労死があったので、労働局も特に重く捉えている模様です。
 
 政府の働き方改革で、時間外労働の上限規制の制度内容が固まりつつありますが、それが、過重労働・過労死の抑止力になるとよいですね。
 もちろん、規制だけで防げるものではなく、最終的には企業努力が重要でしょう。人材確保のためにも、各企業において、生産性を維持しつつ、労働時間を減らしていく工夫が求められるといえます。

 なお、時間外労働の上限規制。最大の難所といえる労使のトップの合意(連合と経団連の合意)が得られた旨はお伝えしているところですが、その合意内容(労使合意文)が、連合・経団連の各ホームページに掲載されています。
 「過労死等を防止するための対策」も盛り込まれていることをご確認ください。

 政府は、この内容を踏まえ、時間外労働の上限規制に関して必要な事項を働き方改革の実行計画に盛り込み、労働基準法改正法案の国会への提出に進む方針です。

<時間外労働の上限規制等に関する労使合意(経団連ホームページ)>
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/018.html
〔参考〕この合意文では、いわゆる繁忙期の上限について「休日労働を含んで、単月は100時間を基準値とする」と記されていますが、この合意の報告を行った際、安倍首相が、連合に配慮して「100時間未満とする方向で検討していただきたい」と述べました。このことも、実行計画などに反映される見込です。